風巻さんからのメッセージ
教員生活35周年、定年の歳に一冊の本を出版することが出来、思いがけず沢山の方々に読んでいただけることとなりました。古くからの友人のみなさんが出版記念会を企画してくれました。お恥ずかしい限りですが、これまで支えて頂いた方々、教育や社会実践の場で関わりを持った方々にお集まりいただき、楽しい話の場になればと思っております。 メインの企画として、ミニ・シンポジウムをおこないます。今回の出版でも大変お世話になった教育学の大先輩の楠原彰さん、また、聖心女子大での授業を持つきっかけを作って下さった永田佳之さんとの鼎談です。タイトルは「学校をズラす。学びをズラす。ー世界と他者との出会いを求めて−」とさせていただきました。 楠原さんが、20年程前、ある雑誌にこのように書かれていました。「教師は、いまそう簡単にやめさせられないから、あなたはやりたいことをやったらどうですか。自分で別なカリキュラムをもち込んでみたり、サボってみたり、年休を目いっぱい取って旅してみたり…。学校の和みたいなもののなかで、きちんとやらないと教師としてだめだという、あそこあたりからちょっと抜け出て、一回しかない人生を、もっと楽しく好きなことをやればいいんだけどね。」学校から多少ズレてもいいんだ。学びをズラせば、もっと楽しいことがあるに違いない。そんなことを思わせるステキな文章でした。 今回は、そんな僕のズレた実践の「被害者」である教え子にも参加してもらいます。自分自身に引き受けた学びである「せつなさ」というキーワードを僕は大切にしているのですが、それは、彼ら、彼女らの「涙」や「感動」があったからこそ、たどりついた言葉でした。 みなさんとお会いできることを、楽しみにしています。語り合いましょう!! Profile
風巻 浩(かざまきひろし) 1955年生まれ。川崎市、横浜市で少年時代を過ごす。神奈川県立多摩高校から慶應義塾大学に入学。成城大学大学院文学研究科美学美術史専攻修士課程修了後、神奈川の県立高校で1980年から勤務。霧が丘高校、多摩高校、川崎南高校、麻生高校と勤め、2016年3月に定年を迎える。現在、新羽高校教諭。 2005年〜2014年、首都大学東京非常勤講師。2013年から現在まで、聖心女子大学非常勤講師。 所属など:日本国際理解教育学会、日本社会科教育学会、開発教育協会、歴史教育者協議会。かながわ開発教育センター理事、地球対話ラボ監事。川崎富川(プチョン)高校生フォーラム・ハナ、サポーター |
呼びかけ人からのメッセージ
風巻浩さんの友人、知人、教え子のみなさま 風巻浩さんの近著、『社会科アクティブ・ラーニングへの挑戦-社会参画をめざす参加型学習』は、アマゾンでランクインするなど、参加型学習に取り組む人たちの間で話題になっています。 そこで私達、風巻さんを敬愛する有志で本の出版を祝い、風巻さんの実践とその基にある思想を共有する会を企画しました。 グルメでもある風巻さんと一緒に、社会参画と学習について語り、飲む会にみなさま是非ご参加下さい。 呼びかけ人
・大橋 正明 聖心女子大学 日本NGO活動推進センター ・小野 行雄 草の根援助運動 法政大学 ・荻村 哲朗 神奈川大学 まち×学生プロジェクト ・甲斐田 万智子 文京学院大学 国際子ども権利センター ・中本 啓子 元日本ユネスコ協会連盟 元東和大学国際教育研究所 ・永田 佳之 聖心女子大学 ・裵 安 外国人すまいサポートセンター ・山西 優二 早稲田大学 かながわ開発教育センター |
社会科アクティブ・ラーニングへの挑戦――社会参画をめざす参加型学習(明石書店)
教師とは、こんなにも楽しい職業なのか。(amazonのカスタマーレビューより)
インドシナ難民への日本語ボランティアに端を発した高校生によるベトナム絵本の出版。アフガニスタン高校生とのビデオ対話、ウガンダ高校生との共同メッセージ作成、政治家を巻き込んだマニフェストづくり。15年続く日韓高校生の自主フォーラムの創設。たくさんの活動実践を創り上げてきた風巻氏は、公立高校教師による公教育の、本当の可能性を見せてくれる。そこには、「授業」「教える」などという言葉とは次元の違う高校生たちとの共同作業があり、主体的な参画と協同がある。そしてそのどれもが若者たちの驚きと喜び、そして著者のいう「せつなさ」に満ちている。 現在流行のアクティブラーニングとは、学習者の能動的な参加を取り入れた学習法の総称でしかない。風巻氏がここで示しているのは、そうではなく、社会を変革する行動にまで高めるディープ・アクティブ・ラーニング、氏が三十年にわたって実践してきた「参加型学習」だ。確固たる理論的枠組みで整理しながら、氏はその実践を報告している。 教師という仕事は、なんと幸せな仕事だろうか。こんなことまでできるのだ。高校で教えるかたわら大学で教員養成にも携わっている著者の、「自分自身の生き方に引き受ける、せつなさを持った参加型学習によって、すべての子どもたちが、その幸せを分かち合うことができるような社会、世界を創り上げること」という思い。そうなのだ。教師の面白さとは、自分の思いを形にしていくことにこそある。「教えること」ではない、「伝えたいこと」を、あらゆる場を舞台として若者たちに引き継いでいくこと。その楽しさが、ここにはある。 |